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「ネットプリント」という独自のカルチャーをアップデートするサービスを作りたい#1

2018年10月09日

ネットプリントは、デジタルとアナログの中間にある特殊な文化だ。
もしかしたら誰も発見していない水たまりのようなブルーオーシャンかもしれない。

全国のコンビニで展開されている「ネットプリント」は、データをサーバーにアップロードすると発行されるプリント番号を使って、全国のコンビニのコピー機からそのデータを印刷できるサービスだ。

平たく言うと「プリンターを持っていない人向けの印刷サービス」で、写真や履歴書などの印刷など、どうしても印刷したいものがあるときに利用されている。

一方で、絵師や個人クリエイターの間で、この仕組みを使った新たな作品の発表方法がじわじわと普及しているのだ。

ネットプリントを使えば紙媒体の作品を気軽に提供できる

どんな発表方法かというのは、ツイッターで「#ネットプリント」と検索してもらえばわかりやすい。

こういった自作の書きおろし絵をネットプリントで公開したり…

チェキを撮って配布したり…

手書きの新聞のようなものまで配布されている。

他にも、フリーペーパー、同人漫画、小説、ポエム、ポストカード、カレンダー、ペーパークラフト、節電などを訴えるポスター、政治的なビラなど、本当に色々なものが公開されており、検索結果を眺めているだけでも面白い。

ツイッターユーザーの発想がきっかけで流行

このネットプリント文化の源泉を辿ると、2011年の記事が発見された。


ねとらぼ「コンビニのネットプリントで読める学級新聞風の「エラ通信」が話題に

「すぐ飽きるだろうけど たぶん流行を先取ったよね」――武蔵野美術大学に通う学生がコンビニのプリントサービスを活用して、誰でも読める読み物を配布している。予約番号を入力するだけの手軽さが受け、Twitterでは全国各地から「読めました!」という報告が届いている。

この試みを始めたのはTwitterユーザーのエラーさん(@2nd_error403)。オンラインにアップロードしたデータをセブン-イレブンのマルチコピー機印刷できる「ネットプリント」サービスを利用して、学級通信のような読み物「エラ通信」を配布している。

正確な文化の成り立ちは定かではないが、どうやらこの「エラ通信」が示した新しいネットプリントの活用方法がネットで話題になり、「エラ通信」の刊行が終わった後も手法だけがじわじわと浸透したようだ。

「エラ通信」が人気を博したのはもう7年も前ではあるが、まだまだネットプリント文化が衰えを知らないのは、ワンクリックで欲しいものが手に入る現代社会でも「物体が手に入る」という瞬間のドキドキは、まだまだ人類が味わうことのできる感動として健在ということだろう。

ネットプリント文化をアップデートしたい

まだアイデアを具体的なサービスまでは落とし込めていないのだが、このネットプリント文化にはまだまだ発展の余地がある気がしている。

ぼんやり考えている方向性は、
✅クリエイターがプリント番号を販売できる
✅何が印刷されるか分からない「メッセージボトル」的な遊びができる
✅個人クリエイターが作ったネットプリント作品をアーカイブする
などといった機能の実装だ。

現在はあくまで個人が趣味の範囲でTwitterに「無料で」プリント番号を公開しているだけなので、サービス化して販売できるようにしたり、作品をまとめたりすることで少なくとも今よりも便利にはなると思う。

また、コミケなどでコピー本を出展する場合、大量に印刷するコストや、在庫を抱えるリスクを負わなければいけないが、このサービスがあればブースには見本だけ置いておき、プリント番号だけ販売するというスマートな方法が可能になる。

とまぁサービスの作る意義みたいなものを考えて書いてみたが、実はあまり問題解決をしたいとは思っていない。

僕はWeb漫画に黎明期からかなりハマっており、「この作品、紙でも読めたらいいのにな」と思ったことが何度かある。
勝手にダウンロードして印刷するのも手間だし気が引けるので、ニッチではあるがこういう類のサービスの需要は一定数はあるのではないか?という単純な思いつきでしかないのだ。笑

また、日本は外国に比べて個人クリエイターの文化がかなり成熟しているので、「今までにない発想の新聞や漫画などがネットプリントを通じどんどん刊行されたら面白いなぁ」という思いもかなり強い。

流行るかどうかは分からないが、コアなファンは生まれそうなアイデア

作る前から言うのも難だが、まぁハッキリいってこのアイデアのビジネス的な成功確率はかなり低いだろう。
でも、新聞の四コマ欄を毎日の楽しみにしている熱狂的ファンが一定数いるように、そういったニッチ分野のサービスとしてはギリギリ成り立つ可能性があるのかなというイメージはある。

なので「一発当てる」「バズらせる」といった期待は持たず、「面白そうだから作ってみよう」程度の気概でこれから徐々に開発してみようと思っている。

個人クリエイター向けにやるなら、開発段階からもっとクリエイターを巻き込んで一緒にやっていくことが必要だよなぁと思っているのだが、まだその具体的な方法が思いついていない。

とりあえず手を動かしながら落とし所を探っていくつもりだ。

ライター: 斉藤ノブヨシ

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